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とっとり技術ニュース最新号 (Web抜粋版)

とっとり技術NEWS No.24(2022年7月発行)

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特集1 各研究所の事業紹介 

  • 電子・有機素材研究所
  • 機械素材研究所
  • 食品開発研究所

特集2 ものづくり人材育成塾のご案内

  • アロー産業
  • ワールドウイングエンタープライズ
  • 角屋食品

技術支援企業紹介 ~県内企業の新製品・新技術~

  • 株式会社コロンブス
  • ほっこりよもぎ家kizuku

センターお知らせ

  • AI・IoT・ロボット導入実証支援プロジェクト
  • 「産業技術HOT情報」の動画情報のご紹介

特集1 各研究所の事業紹介

 当センターでは、平成31年4月からの第4期中期計画において、「生産性向上のためのAI・IoT・ロボット分野」、「次世代自動車関連部品の生産技術分野」、「豊富な水産資源を活用した高付加価値食品開発分野」を重点分野として、様々なセンター活動を展開してきています。
 令和4年度は、第4期中期計画の集大成となることから、これまで取り組んできた生産性向上のための高度な企業人材育成や企業課題を解決するための研究開発などを成果に結びつけ、県内産業の活性化につなげていくことを目指します。
 本号では令和4年度に実施する主な事業について、各研究所ごとにご紹介いたします。


■電子・有機素材研究所

次世代自動車関連部品の生産技術

■AI・IoT・ロボット導入実証支援プロジェクト
生産技術に携わる技術者の能力向上のための取り組みの一環として、AIを活用した画像検査技術、IoTなどによる視える化技術、ロボット制御技術による作業軽減・連続運転等を実現していく研修を行います。(11回を予定) また、工程改善、自動化・ロボット導入に関する専門家派遣の他、県内のSIerさまの提案力強化のためのシステムインテグレータ研修も行います。センターの各研究所と連携し、支援してまいります。
■分析技術能力強化事業
製品不良や異物の原因特定に使用する分析機器について、原理や測定事例の紹介、実習をまじえた講習会を行います。分析技術や測定テクニックなどを習得することができ、材料関係以外にも、電子・電気、機械、食品等の様々な分野における製品開発や品質管理にご活用いただけます。令和4年度は、赤外線分光光度計やガスクロマトグラフ質量分析計に関する講習会を開催予定です。例えば、カーボンニュートラル関連で関心の高いプラスチックリサイクルでの、リサイクル前後のプラスチック成分評価にご活用いただけます。

■機械素材研究所

次世代自動車関連部品の生産技術

■次世代自動車関連技術研究会
自動車の「軽量化」「低コスト化」「電動化」をキーワードに、関連部品の製造プロセスに係る最新技術や市場動向等を紹介したり、参加企業の皆様との共同実験、意見交換を行う研究会を開催しています。
■とっとりロボットハブ(AI・IoT・ロボット実装支援拠点)
生産工程の自動化・省力化等の動作検証用に「産業用ロボット」「協働ロボット」「搬送ロボット」等が開放機器として整備されていますので、ご利用ください。

■食品開発研究所

豊富な水産資源を活用した高付加価値食品開発

■水産加工技術研究会
当センターの研究成果の普及や今後の水産加工業の高度化を目指したセミナーを開催するほか、個別の技術相談や人材育成に対応します。
■食品開発・品質技術人材育成事業
食品製造や品質評価技術に関する講習や実習を行うことにより、付加価値の高い新商品の開発や品質管理などにおいて活躍できる技術人材の育成を目的としています。
■食の安全・安心プロジェクト推進事業
食品工場の衛生管理対策の基礎となる7Sの導入方法やHACCPシステムや、異物混入対策等のHACCPの構築につながる技術研修を行っています。また、企業に専門員を派遣しますので遠慮なくご相談ください。
 

詳細は、PDF版でご覧ください。

特集2 ものづくり人材育成塾のご案内

~企業の課題に対応したオーダーメイド研修~

ものづくり人材育成塾のご案内

ものづくり人材育成塾」は、県内企業の皆様が抱える個別の技術的課題の解決を通じて技術力向上を図るオーダーメイド型の人材育成コースです。令和3年度は30企業、40名の方が参加され、技術習得を基にした製品開発や品質改善等に繋げておられ、参加者や経営者から高い評価を得ています。 詳しくは、研究員にご相談ください。

コース 内容
課題解決手法習得コース 企業技術者がセンター研究員の助言により、自社内で抱える技術課題を解決する手法を習得することができます。コースは21コース。詳しくは、 人材育成ページ をご覧ください。
最もご利用いただいているコースです。
AI・IoT・ロボット技術習得コース AI・IoT・ロボット技術を製造現場に導入しようとする企業の技術者が、センター職員の助言により、具体的な技術課題について検討することで、導入に必要な知識やスキルを習得することができます。
水産加工開発コース 水産物加工に関する具体的な技術課題について、企業の技術者がセンター研究員の助言により検討を実施することで、必要な知識やスキルを習得することができます。

参加された企業の事例紹介

■アロー産業株式会社 ~紫外域において高反射率を持つ無機塗料の開発

基板用レジスト塗料開発を目的として、ものづくり人材育成塾(令和元年度)を受講されました。開発にあたり、企業担当者とセンター研究員が一緒に取り組み、ベースとなる樹脂の組成配合からUV反射率や塗膜性能評価までの技術を習得。その結果、紫外域(250~400nm)での反射率が80~90%の基板用レジストを開発されました。現在は、受講をきっかけに、同社と当センターとの共同研究へ発展し、さらなる性能向上に向け取り組んでいます。(担当:有機材料グループ 主任研究員 山本)
 
UV高反射レジスト基板(アロー産業HPより)
参加者の声
ものづくり人材育成塾を受講したことで、無機系レジストインクの組成から評価までの技術を習得でき、無機系レジストインクの開発を進展させることができました。引き続き、ご指導よろしくお願いします。会長 矢谷 英志氏)
 

技術支援企業紹介~県内企業の新製品・新技術~

【1】AI技術を活用したアルミニウム角板外観検査装置の開発
株式会社片木アルミニューム製作所大山工場~高品質なモノづくりを目指して~

新技術概要

外観検査装置の開発

  株式会社片木アルミニューム製作所大山工場では、電子機器や家庭用品など様々な用途に使用されるアルミコイルや板を製造販売しています。
品質に対する消費者の意識が年々高まる中、高品質な製品を安定生産するには、「作った製品をしっかり検査する」ことが必要不可欠です。様々な検査項目の中で特に製品の「見た目」を検査する「外観検査」は、検査員の作業負荷が高く当社では以前からカメラ画像を活用した外観検査装置による自動化の取り組みを進めておりました。しかし、「ルールベース」と呼ばれる画像を決まった手続きに従って処理し、OK/NG判定をする従来技術を用いた外観検査装置では、製品の配置ずれや形状の影響など撮像時の写りこみの変化に弱いという課題がありました。
 そこで、産業技術センターに相談し、AI技術を活用したアルミニウム角板の「自動外観検査装置」を共同で開発しました。AI技術を活用することで、設定された条件に合致するものに加え、それらの条件から外れたものに関しても柔軟性を持った判定が可能になりました。

センターとの関わり

  製品の製造・開発を行う上で直面する技術面での様々な課題について日頃から相談しており、本案件も従来から取り組んでいた外観検査技術の精度向上についての相談がきっかけで取り組みました。

今後の展開

 現在は実証実験のために開発した外観検査装置を工場内に設置し、画像データの蓄積を行いながら、安定稼働に向けた装置の改修などを行っています。自動化技術については引き続き研究開発を行い、さらに高品質なモノづくりを目指して挑戦し続けます。

【株式会社片木アルミニューム製作所 大山工場】

産業技術センターの研究技術により、外観検査の自動化に向けて大きく前進しました。生産性の向上や作業員の負担軽減につながる技術として、この技術を他作業へ応用展開していきたいと思っています。今後とも産業技術センターのご協力を得ながら、より良いモノづくりを追及していきたいと考えています。(代表取締役社長 片木 威 氏)


・所在地:鳥取県西伯郡大山町所子字押平道802
・電話:0859-53-4565
・URL: https://katagi-al.co.jp/
・事業内容:アルミニウム圧延品(角板、丸板、コイル)・アルミニウム圧延プラント及び関連設備の輸出

【2】日本酒「純米大吟醸 すいかの花」の開発
久米桜酒造有限会社 ~西瓜麹とオリジナル酵母使用~

新商品概要

くめざくら 純米大吟醸 すいかの花

久米桜酒造(有)は鳥取県西部の伯耆町にある蔵元で、秀峰・大山(だいせん)の麓の豊かな自然の中で日本酒を製造し、地元を中心に販売しています。
これまで地元の丸山地区で栽培された酒米「強力」や「鳥取旭」等、“地のもの”にこだわった原料を使い、お米の田植えや収穫の際には、体験イベントを開催し、地域と一緒になって日本酒製造に取り組んできています。この取り組みの一環として、日本酒の発酵を担う麹菌と酵母も鳥取オリジナルのものを使うことで、米、水と合わせて、オール鳥取の日本酒ができ、PR効果やブランド向上に繋がっていくことを期待して新商品開発に向けて取り組みました。
具体的には、鳥取オリジナルの麹菌をつかった米麹造りの検討や新しい酵母を使ったモロミ発酵管理など試験醸造を行いました。その結果、オール鳥取の日本酒「純米大吟醸  すいかの花」を開発・発売することができました。

センターとの関わり

 産業技術センターが開発した鳥取オリジナルの麹菌、酵母についての講演を聴講したのが製品開発のきっかけでした。その後、菌株の特徴にあった商品コンセプト、製造・発酵管理を検討し、開発・発売することができました。

今後の展開

今回の「純米大吟醸 すいかの花」をきっかけとして、「西瓜」をキーワードに販売店などと繋がっていき、相乗効果により、さらに広く展開できればと思っています。これからも地元にこだわった酒造り、鳥取らしい商品開発に取り組んでいきたいと思います。

【久米桜酒造有限会社】

 オール鳥取であるということを伝えられたら良いと思っていました。そんな中でセンターが育種した麹と酵母を使用したお酒が出来て嬉しく思います。コロナ過だからこそ、繋がる事が必要だと。『どうすれば人を喜ばす事ができるか』今回の取り組みで伝われば幸いです。(杜氏 三輪 智成)

・所在地:西伯郡伯耆町丸山1740-50
・電話:0859-68-6555
・URL: http://g-beer.jp/kumezakura/
・公式オンラインショップ: https://gbeer.ocnk.net/
・事業内容:日本酒、リキュールの製造・販売

【3】こだわりのフルーツトマトを使った風味のよいトマトジャム
一般社団法人 結夢(どりーむ) ~冷解凍を応用した新たなトマトの加工方法~

新商品概要

こだわりのフルーツトマトを使った風味のよいトマトジャム

トマト農家から、「こだわりのフルーツトマトを冷凍保存しているので、スイーツに使える風味のよいトマトジャムを製造して欲しい。」と頼まれたことがきっかけでした。トマトを解凍すると果肉とエキスに分離するので、当初はエキスは捨てて、果肉に砂糖とレモン果汁を加えて煮詰める方法でトマトジャムを試作しましたが、「甘い」「酸っぱい」「焦げ臭い」など失敗の連続でした。そこで、食品開発研究所に相談したところ、「低温加工すると風味のよいジャムになり、今は捨てているエキスも活用できる方法がある」と提案を受け、「トマトジャムの製造条件の確立とトマトエキスの凍結融解濃縮」に取り組みました。湯剥きしたトマトとペースト状に潰したトマトをブレンドし、砂糖とレモン果汁を加えて沸騰させないよう低温加熱によって、風味のよいプレザーブタイプのトマトジャムに仕上がりました。分離したエキスは、袋に入れ、凍結・融解を数度繰り返すことで、濃厚なトマトエキスに変身し、無水カレーやドレッシング、ジュレ等に、活用できるようになりました。

センターとの関わり

冷凍フルーツトマトを活用した商品開発については、産業技術センターの「ものづくり人材育成塾」に参加し、原料処理から加熱濃縮、充填・殺菌までの、ジャムの一連の試作加工ができる設備を利用して、納得できるトマトジャムが完成するまで検討することができました。

今後の展開

加熱時の温度管理を失敗すると焦げ臭が発生するなど課題はありますが、原料のフルーツトマトを冷凍保存しておけばいつでも製造できるので、皆さんに納得して頂けるような風味がよく、美味しいトマトジャムを提供できるように今後も努力していきたいと思います。

【一般社団法人 結夢(どりーむ)】

トマト農家の「規格外品を加工して付加価値の高い商品を開発して欲しい」との強い要望に応えてトライしてみました。かなり難易度が高く何度も失敗しましたが、産業技術センターのお力添えのお陰で形になるものができました。まだまだ、発展途中ですが、更に付加価値の高い商品になるよう努力していきます。(理事長 今石 誠)

・所在地:鳥取市河原町中井336
・電話:0858-71-0564
・URL: http://welfaredream.or.jp
・事業内容:障害者就労継続支援、食品乾燥、パウダー、農産物加工等

【4】かにみそを使ったバーニャカウダの商品化
株式会社門永水産 ~常温流通可能な商品開発~

新商品概要

こだわりの材料を使ったかにみそバーニャカウダ

当社では、境港で水揚げされたベニズワイガニのかにみそと大山乳業の生クリーム、青森県産のニンニクを使って「かにみそバーニャカウダ」を製造しています。この商品は、かにみそのコクと旨味を生かし、ニンニクの香りが食欲をそそる、癖のないマイルドな味わいとなっております。
この味をより多くの人に味わっていただきたいと思い、常温流通できる商品の開発に食品開発研究所と取り組みました。
魚離れと言われる中、クセがあり日本酒の肴などのイメージが強いかにみそも同じ状況にあり、若者や女性に購入していただく機会は減ってきています。
そこで気軽に手にとっていただけるかにみその商品を開発したいという思いから、バーニャカウダソースにかにみそを活用することを発案し、味はもちろんのこと、シールや瓶のデザインにもこだわり、お土産、ギフトなど多様なシーンでお役にたてる商品に仕上がりました。

センターとの関わり

常温流通できるかにみそバーニャカウダの商品化を目指し、開発当初は、食品開発研究所が所有するレトルト試験機で加熱加圧殺菌を検討しました。加熱加圧殺菌では、かにみその風味が悪くなってしまい、思うような品質の商品に至りませんでしたが、担当研究員の方から、かにみその風味を損なわない加工方法のアイデアをいただき、何度も試作と分析を繰り返しました。また、社内で実施可能な品質管理方法などの技術指導もしていただき、常温流通可能な満足いく商品が完成しました。

今後の展開

かにみそバーニャカウダの製造技法を活用して、「かにみそトマトジャン」の販売を開始しました。今後のシリーズ展開も考えており、おいしくておしゃれな、常温流通の瓶詰めシリーズを提供できるよう努力していきたいと思います。

【株式会社門永水産】

かにみそバーニャカウダは評判がよく、リピーターも多いです。このようなヒット商品ができたことを嬉しく思います。産業技術センターの皆様にはご指導いただきまして感謝いたします。今後も鳥取県の魅力を発信できる商品を開発していきたいと思います。(開発課 石田 彩)

・所在地:境港市昭和町12-27
・電話:0859-44-3011
・URL: http://www.kadonaga.com
・事業内容:かにの加工、魚の加工、かに加工品の製造

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■センター職員が表彰されました  ~2021年度 中国地域公設試験研究機関功績者表彰~

令和3年11月25日に開催された中国地域公設試験研究機関功績者表彰(主催:公益財団法人中国地域創造研究センター)において、当センター職員が表彰されました。

中国地域公設試験研究機関功績者表彰

■地域技術貢献賞(中国経済産業局長賞) 鈴木 好明(機械素材研究所長 兼 食品開発研究所長)
  「加工・接合に係る生産技術の開発支援」

■研究奨励賞(公益財団法人 中国地域創造研究センター会長賞) 福留 祐太(電子・有機素材研究所 主任研究員)
  「画像処理を活用した外観検査技術の研究開発 および応用技術開発」

詳細はこちらから

■今後のセミナー・講習会のご案内(1月、2月)

開催日 内容 お問い合わせ先
1/14(金) 工場のFA・デジタル化のための自動化相談会(主催:ひろぎんエリアデザイン 共催:鳥取県産業技術センター) 電子・有機素材研究所
TEL:(0857)38-6200
1/31(月)~2/2(水) ロボットシステムインテグレータ研修(SIer向け) 機械素材研究所
 電話(0859)37-1811
2/3(木)~4(金) ロボットシステムインテグレータ研修(ユーザ企業向け)
2月中旬 「有害物質と法規制 ~REACHとRoHS~」(分析技術能力強化事業) 電子・有機素材研究所
TEL:(0857)38-6200
2月中旬 「清酒仕込み研修」(清酒製造技術支援事業)
2/24(木)~25(金) 第3回食品の衛生管理技術研修会(上級編) 食品開発研究所
TEL:(0859)44-6121
2月下旬 「新規導入機器講習会 電子顕微鏡」 電子・有機素材研究所
 電話(0857)38-6200
2月下旬 「新規導入機器講習会 材料強度試験機」

※開催日程や内容の詳細が決まり次第、随時、 センターホームページ(https://tiit.or.jp/) でご案内します。
※新型コロナウィルスの感染拡大状況を踏まえ開催日程や内容に変更が生じる場合があります。

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