アンケートでの質問に対する回答
令和3年度鳥取県産業技術センター活動成果発表会にご参加くださいましてありがとうございます。アンケートフォームにご記入いただいた「第2部 研究等成果発表」へのご質問について、下記の通り回答します。 ※質問をクリックすると回答が表示されます。
A1 人工知能を用いた外観検査判定精度向上技術の研究
画像検査で100%検出OKにならないのはなぜですか?100%の検出精度を実現できないと再検査が必要になるのではないですか?
今回のワークは、良品であっても画像検査上では不良品に見える場合があり、検出率を100%とすることが難しい検査対象でした。製品検査においては、ばらつきや撮影条件などにより、良品と不良品の閾値が曖昧となることを考慮して、AI製造現場に適応する際は良品を100%検出できる閾値を設定します。その結果、少し過検出気味となり、一部良品を不良品と誤判定してしまうことは避けられませんが、再検査に必要な数量は元来必要な検査数に比べて大きく減少しますので、その分、検査員の負担を減らすことが可能となります。
製造ライン上で目視選別をデジタルカメラなどで判定するのにどのような機械や投資が必要ですか?また、運用するに当りパソコンに詳しい技術者が必要ですか?
目視選別の自動化についてはカメラ以外には照明、PCあるいはマイコンボード等が必要となり、検査の難易度によって必要な投資金額は大きく変動します。運用については、技術者は必須ではありませんが、一般的に、技術者が内部にいない場合は、単純な変更についても外部にメンテナンスを依頼しなくてはならないため、高コストになります。
A3 X線CTによるプラスチックリサイクル建材の内部解析事例
二つの物質を貼り合わせた時の接着状態を計測できますか?
接着層の厚さの測定や空隙等の評価は可能と考えますが、物質と接着剤の材質・特性が類似する場合や、試料サイズによっては、両者を明確に区別できず、評価できない場合もあります。
X線CTによる空隙分布の解析は、元々装置についている機能ですか? それとも新しく開発したものですか?
空隙分布の解析は装置に付属の解析ソフトウェア(VOLUME GRAPHICS製 VGStudio MAX ver.2.01)の解析機能の一つです。他にも各種解析機能を備えており、観察対象に応じて適用できます。
B1 鋳鉄の化学成分定量への蛍光X線分析法の適用可能性
蛍光X線分析装置との相関係数を求めた部分で、炭素では「相関がマイナスで良くなかった」との報告でしたが、y=-Xであったとしても分析データの比較の場合は相関が無いとの判断になりますか?
今回の鋳鉄のような高濃度炭素の狭い領域(3%~4%)では相関が無いと考えます。相関係数が負の値でしたが、それも本質的な意味のある負の相関があるわけではなく、単にバラついているものと考えます。純鉄、鋼及び鋳鉄を含めた広い濃度範囲(0%~4%)でワイドにみるとおそらく正の相関になるはずですが、鋳造業で求められるミルシートでは3~4%の狭い領域での正確性を求められるため、今回は「良くない元素」と表現しました。
B2 FE-SEM導入で可能となった数万倍の観察が分析に与える影響と将来性
SEMでの観察写真の倍率の表示で、SEMでは1万倍の設定で観察した写真でもパワーポイント等で表示する場合は、貼り付けた際の画像の大きさで実際の倍率とは異なると思いますが、今回表示された画像の倍率はどのように表示されていましたか?
プレゼン資料にはSEMでの観察倍率を記載しています。SEM像の表示倍率は、資料に貼り付けたときの画像の大きさや、ご覧いただくモニタ等の大きさによって変わります。実際の表示倍率は、SEM像や解析像中に表示されているスケールバーでご確認ください。
B3 視覚と触覚による汎用的な産業用ロボットのランダムピッキング技術の開発
動画での把持動作では、真上から垂直にアプローチしていましたが、角柱が傾いて置かれていた場合など斜め方向からアプローチする必要があると思いますが、そのような把持動作も可能なのでしょうか?
斜め方向からの把持も可能です。部品認識についても直方体や円柱などで照合することで姿勢を計算することができます。ただし、部品箱の縁等への接触を考慮する必要があるため、基本的には真上から把持ができるように工夫をしたほうが効率的となると考えます。
動画では対象物の負荷による位置ずれはあまり無い様に思えました。幾度か接触を繰り返すので品物の安定具合によっては落下もあると思います。開発した技術は、それが起きた場合は、別の品物を把持するように変更するものですか?
今回ご覧頂いた動画では、対象物の中心補正や重量バランス確認のため、対象物に複数回接触させておりますが、ご指摘いただいたように軽い対象物では位置が動くことが想定されます。そのため、人のようになぞらせて一度接触させた後に離れないような動作に変更を検討しております。一定距離なぞらせても触覚バランスが安定しない場合は別の対象に変更するなどでの対策は可能です。
薄い物や、ワーク同士が絡み合うような物にも応用できますか?
絡み合う部品を絡んだままで把持することは可能かと思いますが、1本ずつに分ける場合は、掴みながら振り落とすなど何か工夫が必要になると考えます。 そういった検討も可能ですので、ぜひご相談下さい。
B4 ハンドセンサを用いたパワーアシスト調整機能付き簡易装着型ロボット介護機器の開発
フェイルセーフ的な機能はつけなくてもOKですか?重いものを持っているときにアシストが急に切れると、けがのリスクがあるのではないか?と思いますが。
フェイルセーフ機能は必要と考えます。ハンドセンサ故障のリスク回避をするための工夫は必要ですので、ハンドセンサを開発する製品メーカと十分な意見交換を行います。
実験段階の持ち上げた重量(10kgf)と検証段階で持ち上げた重量(6kgf)を変えた理由はありますか?
重量を変えた理由は、AI学習時と異なる条件下で検証を行うためです。また、疲労度を検証するためはある程度長時間の連続運動が必要と考え、重量を6kgfに減らし2秒間1往復するスクワットを70秒間連続で行う運動で検証を行いました。
リュックに入れているアシスト装置の重量は何kgfですか?
アシスト装置の重量は約3kgfです。
品物をその場で持ち上げて置くという作業の負荷アシストについては大変効果のあることと思います。品物が柔らかかったり、歪な形状をしていたりした場合でも同様な効果は得られますか?
品物が柔らかい場合は補正が必要になる可能性があり検証が必要ですが、アシストスーツの感度調整で十分対応可能と考えます。歪な形状には現状でも対応可能です。
C2 ねばりっこの流通時における保存技術の探索
ねばりっこの次亜塩素水での殺菌と次亜塩素酸ナトリウムでの比較はありますか?
今回は、現場の生産ラインでの導入を目指したため、微酸性電気分解水(微酸性次亜塩素酸水)での試験を行いました。次亜塩素酸ナトリウムとの比較はしておりません。
真菌数のデータはありますか?
一般生菌数のデータと比較してサンプル数は少ないですが、データ取得しております。真菌数は10^2~10^4程度で、同様サンプルで測定した一般生菌数よりも1オーダー低い数値である傾向がありました。
おがくずのオゾン殺菌の実験時のオソン濃度はどのくらいのキープでしたか?
オゾンガス発生装置起動後30分でオゾン濃度60ppm程度でした。その後のオゾン濃度(1時間後や3時間後)は、測定していません。
鳥取県産業技術センター活動成果発表会で紹介した研究開発およびそれに関連する技術(原理)については、当センターの「研究報告」で紹介しております。是非、ご覧ください。
A1 人工知能を用いた外観検査判定精度向上技術の研究 | センター研究報告 No.24 2021「人工知能を用いた外観検査判定精度向上技術の研究」 | ||||
A2 信頼性評価ツール(恒温恒湿器、振動試験装置など)による支援事例 | センター研究報告 No.23 2020 「光切断法を用いた振動振幅計測」 | ||||
A3 X線CTによるプラスチックリサイクル建材の内部解析事例 | センター研究報告 No.23 2020「X線CTによるプラスチックリサイクル建材の内部解析事例」 | ||||
B1 鋳鉄の化学成分定量への蛍光X線分析法の適用可能性 | センター研究報告 No.24 2021「材料の分析技術の向上(第1報) 鋳鉄の化学成分定量への蛍光X線分析法の適用可能性」 | ||||
B3 視覚と触覚による汎用的な産業用ロボットのランダムピッキング技術の開発 | センター研究報告 No.24 2021「視覚と触覚による汎用的な産業用ロボットのランダムピッキング技術の開発」 | ||||
B4 ハンドセンサを用いたパワーアシスト調整機能付き簡易装着型ロボット介護機器の開発 | センター研究報告 No.21 2019「脱着可能な簡易ハンドセンサによる作業者の把持力推定」 | ||||
C2 ねばりっこの流通時における保存技術の探索 | センター研究報告 No.24 2021「ねばりっこ流通時における品質保持手段の検討」 | ||||
C3 液体クロマトグラフ質量分析計によるブロッコリー中の葉酸分析技術の開発 | センター研究報告 No.24 2021「健康成分を保持した冷凍ブロッコリー開発に向けた加工条件の最適化」 |